Classici giapponesi con furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Leggi 平の将門 (たいらのまさかど) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.193 caratteri · 463 schermate
彼はふと、運命観みたいな、明日、あさっても知れぬ人間と思う思いにとらわれていた。その反面には、それほど危険な怒りが、一朝でない怨恨の器が、自分だということも分っていた。
(対岸へ着いたら、梨丸は、帰すとしよう。行く先で、おれに万一があろうとも、乳母の子までを死なせてはすまぬ)
そう考えたがまた、
(いや、おれの骨など拾って貰いたくもないが、梨丸でもいなければ、誰が、豊田の館へ、万一を報らせよう。やはり連れてゆくとしよう。梨丸には、巻きぞえを喰わせないように)
渡舟の舳が、岸を噛んだ反動で、将門は、大きくよろめいた。その踵から我れに返った。
馬の背に移って、梨丸に口輪を把らせながら、東へ東へと道をとった。野路はいつか茜に染まり、馬と人の細長い影が地に連れだって行く。そして、行く手の筑波山は、紫ばんだ陰影をもって、鮮らかに、近々と見えるのだが、これがなかなか歩いては遠いのである。どこかに、泊らなければならないかと思う。
夜に入ると、十方、何もないだだっ広い闇の果てに、蛍屑のようにチカチカとまたたいている灯のかたまりが望まれた。梨丸に訊くと、それは利根川の入江になっている土浦の市だという。