Classici giapponesi con furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Leggi 平の将門 (たいらのまさかど) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.193 caratteri · 463 schermate
ただ心ぼそいのは、夕闇の陰影が、自分の影にも、濃くなりかけていたことだった。
「ねえ、和子……」と、並んで足を休めると、尼はすぐいい出した。「おまえが、背に負っている旅包みは、膨らんで見えるが、きっと、まだ食べないお弁当がはいっているのじゃないか。そうだったら、尼のお駄賃に、その弁当を私におくれよ。実をいうと、私は、お腹がへって、もう、ひと足も歩けないんだから」
いともあわれに手を出して乞うのである。
道理で、この尼は、初めから自分の旅包みにばかり眼をそそいでいたことよ、と小次郎も今にして、思いあわせた。それを解いて、食べたかったことは、彼の空腹も変りなかったが、連れの尼にたいして、むしろ我慢して来たところだった。で、彼はさっそく旅包みからそれを出して、尼の手に渡した。
尼は、礼もいわずに、食べはじめた。もとより今朝、木賃でこしらえてくれた貧しい粳の柏巻きが幾ツかあったにすぎないが、尼はその竹の皮づつみを膝へ抱きこんで、黄色い歯をむき出しに、がつがつ食べた。爪の伸びた、汚い指の股にくッついた一粒まで、うまそうに舌で甜め取っては、すぐ次のを食べにかかり、ついに、小次郎には、一つもくれずに、みな食ってしまった。