Classici giapponesi con furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Leggi 平の将門 (たいらのまさかど) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.193 caratteri · 463 schermate
堪るものではない。苫の下には、何とも、名状しがたい人間の悲鳴が起った。
桔梗の守りについていた十数名の郎党は、いちどに、船を躍り出して、
「これまで」と、船を近づけ、阿修羅になって、斬りこんで来たが、多くは、矢にあたって、水中に落ち、岸を踏んだ者も、なぶり斬りになって、討死にした。
その一艘に、良兼の部下が乗って、すぐ他の二艘を、岸へ曳いて来た。一艘は、女房や女童ばかりである。良兼は、
「桔梗を搦めろ。ひきずり上げて、縄をかけろ」
と、わめいていた。しかし、船が、岸近くへ、曳かれて来るまでに、桔梗は、将門との中に生じた――この春、生んだばかりの愛しい――あれほど夫婦が珠と慈しんでいたものを、眼をとじて、母の手で刺し、自分もその刃で、自害していた。
良兼は、何か、彼女の行為が、非常に面憎い気がした。――彼はなお今でも思いこんでいる。かつて、自分の愛妾玉虫が姿をかくしたのは、将門が盗んだものとしているあのときの感情だ。その報復をなすべきものを失ったための業腹であったにちがいない。桔梗の死骸を、水底に蹴落し、なお罪のない女童や傅きの女房たちまで、部下の残虐な処置に委して、羽鳥へ引き揚げて行ったのだった。