Classici giapponesi con furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Leggi 平の将門 (たいらのまさかど) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.193 caratteri · 463 schermate
「小次郎、口輪をもってくれい。……小次郎、口輪を」
雑色たちは、庭門のそばで、騒いていた。駻気のつよい馬とみえ、ちょっと、手におえないらしいのである。
日頃から、召使たちの間でも、馬にかけては相馬の小次郎――と、これだけは、通り者になっていた。実際、かれの手にかかって、おとなしくならない馬はないからである。
小次郎は、性来、馬が好きだ。馬を見ると、肉親の者を見るような気がした。あの、故郷のひろい天地を、馬のにおいに感じる。また、大結ノ牧の馬房で、馬と一しょに、寝藁の中で寝た夜もおもい、馬の腹に枕して、泣き泣き眠った悲しい日のおもい出も奏でられてくる。
「おいっ。心得た。――離してよい」
小次郎は、同僚から、口輪をうけとって、しっかり、つかんだ。
そして馬の駻気を、なだめながら、しずしずと、貴人のまえに臨む歩調をとらせた。
客の秀郷と、主の忠平は、廊の間へ出て、立っていた。
「……ほ。この馬か。なるほど、見事よな」
忠平は、酔眼をほそめて、しきりに賞めた。この大臣は、輦の飾りには、ひどく凝っているが、乗馬には、まるで趣味はない。しかし、こう褒めるのは、馬は、貨幣だからである。