Classici giapponesi con furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Leggi 平の将門 (たいらのまさかど) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.193 caratteri · 463 schermate
――今ごろは、おれを、追うにも追えず、泣きベソをかいて、独りもだえているだろうよ。彼は、あざ笑って、小次郎に話すのだった。
紫陽花の君というのは、もともと、女の本名ではなく、忠平が、彼女を奪って、この小一条に、かくまってから後、仮に呼び慣わせているにすぎない。まことの名は、清原の藍子といい、雅楽寮の名手、清原恒成の妻であり、婚して、まだ、二年ともたたないうちに良人を亡くした若後家の君である。
忠平は、かねてから、藍子の容姿に、食指をうごかしていたので、さまざまな手だてをつくして、射落そうと試みたが、藍子は、うるさく思ったか、かえって、紀貫之の甥で、紀史岑という、いとも貧しい一朝臣の家へ、再嫁を約してしまった。――と知って、憤った忠平は、まだ冬の頃の雪の一夜、滝口の武士をつかって、藍子を襲い、一時、洛外に隠しておいて、いやおうなく、この紫陽花の壺へ、やがて移していたものである。――だから、正しい恋愛でもなければ、野合ですらない。暴力と権力で、ひとの妻を、奪ったものだ。それをおれが、また奪うのは、不義ではない。不死人は、そう傲語して、はばからないのである。