Classici giapponesi con furigana
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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
Leggi 海上の道 (かいじょうのみち) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 182.344 caratteri · 353 schermate
一〇
に依ると、佐渡の他にも但馬・若狭、奥州にも四国にも椰子の実の漂流してきた前例がすでに有った。古書の記録の発見だけでなく、是からも皆で気をつけていたら、その事実はだんだんに積み重ねられるだろうが、それには何よりも地点を明らかにする必要があると思う。何処の海辺へでも勝手放題に、上陸するものではないということを認めるのは、決して椰子の実一つのためではなく、また地理の学者だけの任務とは限らないであろう。
一〇
多数の漂着物は永い年代に亙って、誰ひとり省みる者もなく、空しく磯山の陰に朽ち去った。たまたまそれを取り上げて愛玩し加工し、また授受するような時世になっても、その説話は必ずしも弘く伝わらず、もしくは誤解と誇張とを伴って世に残った。是からの学問はそれも整理しなければならない。加賀の手取川などは、同じく日本海に注ぐ著名な流れであるが、このあたりのアユの風は、椰子の実は吹き寄せなかったものとみえて、飛んでもない噂話が記憶せられていた。この川は水筋がすぐに通り且つ早瀬であるために、出水があっても岸を溢れて、村里を害することが元は稀であった。或る年意外の高水が支えて、いつまでも田畠を浸し劫かすので気をつけて見ると、川の中流に黒い円みのある大岩のごときものが横たわって、流れを堰き止めていて、そのために水が引かぬのであった