Classici giapponesi con furigana
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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
Leggi 海上の道 (かいじょうのみち) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 182.344 caratteri · 353 schermate
鼠や渡り鳥や魚の群などは、地図を見たこともなく、地理の教育はまったく受けないにもかかわらず、結果だけから見れば、たしかに移住をしている。人もそれと同様に、やはり自分の羽で飛び、自分の鰭または脚で水を掻いて、行きたい方角に進み、こいつは行けないと思えば、ともかくも引き返しまたは転回しようとする。是こそは計画であり希望であって、単なる盲動ではなかったと言えるかも知れぬが、その程度の心構えならば、ココ椰子が潮に落ちる場合ならずとも、花の粉の蝶蝉の翼に乗って空を行くなども、またその例に算えなければなるまい。
ただし花粉や椰子の実の間にはまだ認められないが、少し大きな生物の群には、それぞれのモーゼがいたようである。彼らの感覚は鋭く、判断は早く、またそれを決行する勇気をも具えていた故に、是と行動を共にしておれば、百ある危険を二十三十に減少することはできたろうが、行く手に不可知がなお横たわるかぎり、万全とは言うことはできなかった。古来大陸の堅い土の上において幾度か行われた民族の遷移でも、さては近い頃の多くの軍事行動でも、勝って歓ぶ者の声のみが高く響き、いわゆる万骨の枯るるものが物言わなかったのである。