Classici giapponesi con furigana
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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
Leggi 火星兵団 (かせいへいだん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 307.889 caratteri · 618 schermate
すぐには、名前が出て来ないらしい。
「おじさんは名前がないのですか」
「ばかを言え。おれの名前は……」
と、彼はうなっていたが、
「そうだ、おれの名前は、丸木というんだ。丸木だ。よくおぼえておけ」
そう言うなり、丸木と名乗る大男は、うす桃色の湯気の彼方に、姿を消してしまった。
あとには千二一人がのこった。あいかわらず、寝かされたままである。からだは、やはり思うように、うごかない。一体どんなものをつかって、自分のからだを縛ってあるのか、それをたしかめるために、首をもち上げようとしたが、首がじゅうぶんに上らない。のどのところも、何ものかで、床に縛りつけられているらしい。千二は、いつの間にか、彼が捕虜になっていることに気がついた。
捕虜といっても、あたり前の捕虜ではない。火星の生物が乗組んでいる火星のボートの中に、捕虜となってしまったのである。これから先どうされるのであろうか。このまま火星へつれていかれるのであろうか。それとも火星の生物の餌食になってしまうのであろうか。考えれば考えるほど、不安はだんだん大きくなって来る。こうなると、うす気味わるい男ではあるが、あの黒いものずくめの、丸木と名乗るおじさんを、たよるしかない。