후리가나로 읽는 일본 고전
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みちくさ
道草
夏目 漱石의 道草(みちくさ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,812자 · 293화면
五十
健三の門には軒燈さえ点いていなかった。
五十
健三はすぐ奥へ来て細君の枕元に立った。
「どうかしたのか」
細君は眼を開けて天井を見た。健三は蒲団の横からまたその眼を見下した。
襖の影に置かれた洋燈の灯は客間のよりも暗かった。細君の眸がどこに向って注がれているのか能く分らない位暗かった。
「どうかしたのか」
健三は同じ問をまた繰り返さなければならなかった。それでも細君は答えなかった。
彼は結婚以来こういう現象に何度となく遭遇した。しかし彼の神経はそれに慣らされるには余りに鋭敏過ぎた。遭遇するたびに、同程度の不安を感ずるのが常であった。彼はすぐ枕元に腰を卸した。
「もうあっちへ行っても好い。此所には己がいるから」
ぼんやり蒲団の裾に坐って、退屈そうに健三の様子を眺めていた下女は無言のまま立ち上った。そうして「御休みなさい」と敷居の所へ手を突いて御辞儀をしたなり襖を立て切った。後には赤い筋を引いた光るものが畳の上に残った。彼は眉を顰めながら下女の振り落して行った針を取り上げた。何時もなら婢を呼び返して小言をいって渡すところを、今の彼は黙って手に持ったまま、しばらく考えていた。