일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면

아오조라 문고

主人の川村氏は、俳号を呉竹といって、俳友も多いらしく、ぶらりと店の紫檀机を訪れにくる人は「呉竹さんいますか」とか、「これ、呉竹さんに渡しといて下さい」とか云って、よく判者点のついた社中の句巻を配って来たり、どうかすると数名の俳人仲間がぶつかって、俳談に耽りあう夜もあったりした。

店の戸をおろすまでは、夜業はぼくら徒弟の通常だった。ぼくは主人から与えられた隷書千字文の手本を横において習字したり、ツゲ材の稽古判を印挟みに挟んで、刻刀を持つ初歩の稽古彫りなどをそろそろやり初めていたが、それもよそに俳人たちの雑談に聞き耳立てているのが又なく愉しみの一つであった。

その頃の横浜俳壇にも、当然、ホトトギス派や根岸派などの俳流もあったであろうが、多くは旧派といわれる其角堂系の点者俳句が流行のようであった。雪中庵雀志とか、金港舎なにがしなどという宗匠の名がよくその仲間の口にのぼっていた。川村呉竹氏は元より俳句で飯は食ってはいないが、それらの正風俳句と称する社中では相当な古顔でもあり、文台披露といったような宗匠披露目もやった人らしかった。それと商売柄、筆蹟も良く、篆刻も上手というので、俳友たちのことばつきからも一店主以上のべつな尊敬をうけていたことはぼくらにも察しられた。