후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
というのは、よく当年の彼らの気もちを代弁していたものと云っていいだろう。
ぼくの出京希望も、間違いなく、そんな時代風潮のせいだった。品川駅前で乗った電車の窓から、漫然とただ街を見ていたが、長い区間、飽くのも覚えなかったのは、出京第一日の不安やら触目の事々に新鮮な驚きを抱いていたせいであろう。もちろん、東京の地理は何も知らず、電車に乗ったものの、どこで降りるあてさえなかったのである。
終点へ来てしまった。本所の緑町であった。
日が暮れたら、木賃宿でも捜すつもりだったが、ふと町角の貼り紙に「職業を求める方はお出で下さい」とあるのを見つけ、探して行くと、相生町二丁目の裏通りに、その家があった。見た所ただのしもたやでガラス障子が閉まっている。表の小さい板看板に、日本基督教会青年部職業紹介所とあった。多分間違いはあるまいと、おずおず訪れてみたのである。そして、はからずも出京の第一夜は、いや、それがもう年暮の三十日だったので、正月の四日過ぎまで、ぼくは、ここの若いクリスチャンのインテリ夫婦が家庭的に営んでいた紹介所の二階に置いてもらったのであった。
この前後の事は、以前オール読物の誌上で、随筆としていちど書いたことがある。