후리가나로 읽는 일본 고전
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
吉川 英治의 新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 337,181자 · 676화면
『……あっ、引いてる! 旦那、食っていますぜ』
うしろで、誰か不意に云う。
荷物を背負った町人の影法師が、堤の上から尾籠の側へ落ちている。
一学は、沈みこんでゆく水面のウキに気がついて、ひょいと、竿を上げた。
餌は、取られている。
糸のしずくが、キラキラと手もとへ伝わってくる。鈎を掬って、餌をつける。――そして風に乗せて水面へぽんと投げる。
『――釣れますか』
と、町人は、側へしゃがみこんだ。
『…………』
蘆と蘆との間の静かなさざ波を切って水馬や川海老が小さな波紋を縦横に描いている。白い魚の腹も時々川底を光って潜った。
『――居るなあ』
町人は煙草を吸いつけて、尾籠の中をのぞきこんだ。尾籠の底には、魚の鱗もなかった。
『旦那、ウキ下が、すこし長すぎやしませんか』
『…………』
うるさい奴だと云わぬばかりに一学は黙っている。――町人の燻ゆらしている煙は西国煙草らしい。それも阿波煙草や薩摩煙草ではなく中国産だ――。そんな事を考えたりして、釣糸に心は措いていないのだ。
『ア、引いている!』
町人が又、首をのばした。一学は舌打ちをして肩越しに眼を向けた。三十四五の旅商人にしては陽焦けの浅い男である。