일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면

아오조라 문고

T氏は若松の人で、その頃、同郷の会津蒔絵出身の者は、集団的に東京へ出て来て、もっぱら浅草下谷界隈の裏町に住んでいた。

T氏もその一人で、独身だった。開盛座という芝居小屋があり、その近くの露地を入った四軒長屋の一番奥で、四畳半に六畳の二間きり。師弟二人の男世帯、工房はその六畳で、漆を扱う小机ほどな定盤と、蒔絵筆さえあれば足る至極ちんまりした仕事である。だから局外者の眼には、一見、従来の日本蒔絵でもなし、絵付けする物はすべて真鍮材の金属だし、これが何に成ってどういう用途に向くのやら分らなかった。

輸出ダムシンと称されて、金属面へ漆で描いた様々な図案を、化学薬品に浸して腐蝕させ、その凹刻面に、鉄サビ漆を沈ませて研ぎ出した上、金、青金、銀などのメッキをかけて、さらに精巧な毛彫りをかける。京都には古くから駒井象嵌と称する独得な鉄地象嵌の伝統があったが、それを近代化し、輸出向きに、量産する手法を用いたのが、このダムシン金属製品だった。

腕輪、ネクタイピン、莨入れ、ヘヤピン、耳飾り、ナプキン環、花瓶、文房具類、装身具、家具の類まで、種類はたくさんあった。向く先の多くは、南洋市場らしく、当時は横浜商館の扱う品目のうちでも、かなり重位を占めたものらしく、東京には仲買人が来ており、毎日のように下職の家を廻って、昼夜、督促