후리가나로 읽는 일본 고전
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
久保田 万太郎의 浅草風土記(あさくさふどき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 162,294자 · 318화면
のなくなったことである。――あの、黒い品のいい高塀と、深いしずかな木立とをもった「八百善」のあとに、大きな二階づくりの、硝子戸を立て、土間を広くとった、荷造りにいそがしい何かの問屋の出来てしまったことである。
が、それをいまわたしは惜まないだろう。むしろわたしは、さっさとそうみきりをつけて未練けなくその土地を捨て去った「八百善」の賢明さを嘆称するだろう。――いうまでもなく、むかしの山谷でなくなったからである。いまはもう「千両のうちで山谷はくらしてい」ないからである。
が、「八百善」はなくなっても「重箱」はまだ残っている。日本堤警察署管内のたった一けんの料理屋として(という意味は、その管内の三四百にあまるもろもろの食物屋、あとのものはみんな飲食店としての鑑札しかもっていないのだそうである)むかしの山谷の名残をとどめている。ことに今度の、区画整理後出来上った普請には、黒い塀なら、浅い植込なら、いかにも江戸前の鰻屋といった工合の器用さ手綺麗さをもっているのがいい。……とはいうものの、むかしのこのうちの、明治四十四年の吉原大火以前のこのうちの、生野暮な、大まかな、広さにしても三四倍の嵩をもっていた時分がわたしには可懐しい……