후리가나로 읽는 일본 고전
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みちくさ
道草
夏目 漱石의 道草(みちくさ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,812자 · 293화면
彼の帽子もその頃の彼には珍らしかった。浅い鍋底のような形をしたフェルトをすぽりと坊主頭へ頭巾のように被るのが、彼に大した満足を与えた。例の如くその人に手を引かれて、寄席へ手品を見に行った時、手品師が彼の帽子を借りて、大事な黒羅紗の山の裏から表へ指を突き通して見せたので、彼は驚ろきながら心配そうに、再びわが手に帰った帽子を、何遍か撫でまわして見た事もあった。
その人はまた彼のために尾の長い金魚をいくつも買ってくれた。武者絵、錦絵、二枚つづき三枚つづきの絵も彼のいうがままに買ってくれた。彼は自分の身体にあう緋縅しの鎧と竜頭の兜さえ持っていた。彼は日に一度位ずつその具足を身に着けて、金紙で拵えた采配を振り舞わした。
彼はまた子供の差す位な短かい脇差の所有者であった。その脇差の目貫は、鼠が赤い唐辛子を引いて行く彫刻で出来上っていた。彼は銀で作ったこの鼠と珊瑚で拵えたこの唐辛子とを、自分の宝物のように大事がった。彼は時々この脇差が抜いて見たくなった。また何度も抜こうとした。けれども脇差は何時も抜けなかった。――この封建時代の装飾品もやはりその人の好意で小さな健三の手に渡されたのである。