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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
「バ、馬鹿な、そんなこたアねえ」
「餓鬼め!」
と、姥はまた吼えた。
「しかも檻には頼兼の妾と、小伜とが隠してあったのじゃ!」
「うんにゃ、違う、そんな筈はねえ、念には念を入れたがいいと、こう思ったので警護衆と一緒に山猫の檻から猿の檻、密閉してあったでっかい檻まで、いちいち刻明に調べたが、密閉してあった檻の中からは、さっきもいったが鼡一匹……」
「黙れ、迂濶者、この阿呆! ……密閉してある檻なんぞ、カラクリじゃ、まやかしよ! そのようなものに何んの何んの、落人なんど隠して置こうか! ……獣の檻に、獣の檻に!」
「マ、まってくんな、そんな筈はねえ。獣の檻には獣の類が……熊や猪めが、まさしくいたに!」
「熊は熊だが熊の皮じゃ!」
「皮! 皮と? クマカワと?」
「頼兼の妾千寿めには、熊の生皮をうちかぶせ……」
「…………」
「六歳になる小伜には、猪の生皮をうちかぶせ……」
「…………」
「獣に仕立てた飛天夜叉の才覚!」
「ふーん」
「範覚!」
「おれどうしようぞ!」
「大木戸通ったは何時じゃ!」
「おおよそ半刻、半刻前じゃ」
「二里とは行くまい、ソレ追っかけろ!」
阿修羅となった鬼火の姥は、裾ひっからげ御幣ふり立て、