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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
赤坂城を中心に
以前から正成は宮方として、義兵を挙げる機を窺っていたが、元弘元年九月十一日に、明瞭に兵を挙げたのである。
赤坂城を中心に
赤坂城は小城であった。にわかごしらえの小城であった。浅い堀、一重塗りの塀、櫓は三十足らずであった。全体の大いさは方二町。――豪族の館さながらであった。そうしてそれにこもっている兵も五百ぐらいといわれていた。
そういう小城が河内平野の、小高い所に立っているのである。
さてその赤坂城の可哀そうなほどの姿を、遠望出来る館の縁に、飛天夜叉の桂子が腰かけていた。
楠氏の一族の恩地太郎、その人の遠縁にあたるところの、恩地宗房の館なのであるが、主人と家来とはうち揃って、赤坂城へ入城した。女子供は和泉あたりの縁者のもとへ立ちのいた。で、この館は無人となった。それを桂子が借り受けて、家来たちと一緒に住んでいるのであった。
朝日が明るくあたっていて、葉を落としつくして果実ばかり残した柿の、紅玉のような肌を輝かせていた。
「さあお前たちは入城して、めいめい身にある芸を発揮し、多門兵衛様のお役にお立ち」
そう桂子は三人へ云った。
泣き男と、笑い男と、風見の袈裟太郎とへ云ったのである。