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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

「そいつらに次々に旗あげされたら、なるほど武家方は困るであろうよ」

「手がつけられないということじゃ」

「資朝卿や俊基卿をとらえ、糾問したらよかろうに」

「それが出来ないということじゃ。あそこまで官位の高い公卿は、めったに糾問出来ぬのじゃそうな」

「内裏攻めようと意気込んでいたに」

「あれも北殿一時の怒りで、土岐、多治見を討ちとったばかりで、後は当分穏便じゃとよ。……それにそういう一大事は、鎌倉よりの指揮を受けねば、行ないがたいということじゃ」

「いつ鎌倉から指揮が来るのじゃ?」

「早馬鎌倉へ馳せつくのさえ、相当日数がかかる筈じゃ。それからいろいろ評定があって、それから返辞の早馬が来る。…ずっとずっと先のことよ」

この時けたたましい叫び声が聞こえ、神主姿の眷族の一人が、全身朱に染みながら、林の中から走り出して来た。

「姥、あぶない、逃げな、あぶない! ……盲人が……竹の杖で……凄い腕だ! ……そいつが来るのだ! 姥を討とうと! ……みんなやられた! ……みんな殺された! ……俺もやられた! 俺も俺も!」

鬼火の姥の前まで来ると、地に斃れて手足を延ばした。

「どうした宗任!」