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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

……アッハッハッ、大丈夫で」

「右衛門や」

桂子は云った。

「そのような、バカらしい大袈裟なことは、あまり人前で云わない方がいいよ」

「はい」

と素直に右衛門は云った。

「では今後は無言の行! ということにいたしまする。……が、その前に思う存分、云いたいだけのことを申すことにしましょう! ……ヤイ泣き男泣き男、手前泣くという芸があったら、何故その芸を発揮して、オイオイワイワイ泣き立ててよ、鬼火の姥の眷族どもを、涙で押し流してしまわねえのだ! ……幽霊女も幽霊女だ、物凄い幽霊の真似でもして、鬼火の姥の眷族どもを、顫え上がらせてしまえばいいに! ……笑い男だってそうじゃアねえか、自分一人だけ面白そうに、バカのようにゲラゲラ笑っていずに、鬼火の姥の眷族どもをよ、一緒にゲラゲラ笑わせてよ、骨なしにしてしまえばいいじゃアねえか! ……鶏娘なんかもノンキ過ぎらあ。コケッコーと啼くもいいが、啼いたら啼いたでお日様でも昇らせ、世間を明るくするがいいんだ。……どだい俺は不平なんだ! 鬼火の姥ずれに取りかこまれてよ、飛天夜叉組ともあろうものが、こんなところにトグロをまき、身うごき出来ずにいるなんてなあ」