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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
無礼講
「やれやれ」
「やれやれとも」
「化物のようで」
「さよう」
「で、あのお方様が飛天夜叉の、お頭なのでござりまするかな?」
「疑問じゃ」
「はい?」
「そうらしくもあればそうらしくもない」
「はてね」
「さよう」
「…………」
「万事はてねさ」
小次郎は家へ帰りたくなった。
無礼講
ちょうどこの頃のことであった、洛外栗栖野小野の里の、日野資朝卿の別館で、無礼講の宴が行われるという、そういう噂が立っていた。
噂ばかりでなくて事実であった。
さてある夜のことであったが、その夜も無礼講が行われていた。
銀燭台に身を背けて、夜食をベラベラ食べているのは、大原の住職法印良忠で、法衣はつけず白衣ばかりの丸腰、禿げ頭を光からせていた。
ムッチリとした白い素肌へ、褊一枚着たばかりの、だから体がまると見えている、そういう白拍子と戯むれているのは、右少弁藤原俊基であり、縁先に立って庭を見ながら、これも素肌に褊一枚の、遊君に何か囁いているのは、多治見ノ四郎二郎国長であり、禿二、三人を相手にして、双六の骰子を振っているのは土岐十郎頼兼であり、茶筌頭に烏帽子も冠らず、胸もとをはだけて汗をかき、なお大盃をあおっているのは、尹大納言師賢であり、それと向かい合って大口を開き、唐詩らしいものを吟じているのは、四条中納言隆資であり、その横で素肌に褊一重の、同じ姿