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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

乞食さながらであり盲人だからである。

頼春にしてからがそうであった。

ここに自分と向かい合っている男が、かつて鬼火の姥によって裏切りを慫慂された時、現われて来た若い山伏――それであろうとは知らなかった。

盲目で見えないからである。

「貴殿」

と範覚はやがて云った。

「我らが仲間を五人がところ、討って取られた上からは、我らにとって貴殿は敵、惜しい人物とは存ずるが、この範覚お助けは出来ぬ! ……覚悟なされい、観念なされい!」

「さようか」

と頼春は水のように云った。

「神の界に属する御一方に、許すというお言葉うけたまわるまでは、決して死ねぬこの拙者じゃ! ……行く手を遮る者があらば、誰彼問わず用捨いたさぬ! ……殺生ながら討って取る!」

「参るゾ――ッ」

「…………」

ガッ! 礫が飛び土煙りが上がり、真竹が十本束になって切られ、婆裟と地上へ仆れて来た。

金剛杖で薙いだのであった。

が、それをかわされたのであった。

三尺たらず後退った位置に、頼春は立っていた。右手で太刀をふり冠り、左手で青竹の杖を持ち、同じ姿勢で立っていた。

力負けして自分の方が、右手へよろめいた範覚は、