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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

囚人どもの逃げて行くのをも、遮らなければならなくなった。

で、城兵と囚人たちとの、格闘殺戮が行なわれた。

櫓の一つが燃え出した。

囚人の何者かが、いち早く放火したらしい。

が黒煙りを金襴のように縫い、火の粉が金粉のように蒔かれて見えた。

この騒動が麓の町へも、どうやら伝わって行ったらしく、松明の火が右往左往し、雑然たる物音が響いて来た。

思うに桂子たちの一団であろう、そういう混乱の麓の町へ行ったら、かえって危険と感じたかのように、城の断崖から続いている、曠野の方へ走って行くのが見えた。

と、その一団を執念く追って、もう一つの団体の走るのが見えた。

中に巨大な御幣があった。

戒刀を額に押しあてて、白衣の裾を翻して走る、鬼火の姥の姿であった。

それと並んで走って行くのは、金剛杖を斜めに構えた、山伏姿の金地院範覚で、その二人の後ろから続いて、屈竟の城兵が十人ばかり走った。

聖雄と英雄

その翌日のことであった。

「正成、お早う。よい朝だな」

「これは宮様お早うござります。……よい朝あけにござります」

という、さわやかな挨拶が赤坂城の、櫓の中で交わされた。

赤地錦の直垂に、色かんばしい緋縅の鎧、すなわち曦の御鎧を召された、大塔宮護良親王は、白磨きの長柄をご寵愛の家臣、村上彦四郎義光に持たせ、片岡八郎その他を従え、窓から