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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

九人は顔を見合せた。

若い先達――大塔宮は、

(もうよい! 時期だ!)

とおぼしめした。

「相模!」

と傍らの木寺相模を呼ばれ、

「明かしてよかろう」

と、仰せられた。

と、相模は一揖したが、

「戸野兵衛殿」

と厳かに云った。

「ここにおわす御方こそ、今上第一の皇子にましまし、前の比叡山天台座主、ただ今はご還俗あそばされて、兵部卿大塔宮護良親王様におわすぞ! ……われらはお供の木寺相模」

すると次々にいずれもが宣った。

「光林房玄尊」

「赤松律師則祐」

「岡本三河房」

「武蔵房」

「村上彦四郎」

「片岡八郎」

「矢田彦七」

「平賀三郎」

「兵衛」

と宮家は仰せられた。

「笠置を落ち、赤坂を捨て、熊野へ入り、熊野を脱し、この十津川へ参ったも、郷民昔より王事に尽くし、誠忠であることを知ったからじゃ。……この日頃の起居動作により、兵衛、そちの赤心もわかった。……護良頼んだぞよ。味方仕れ!」

戸野兵衛は、呆然とし、しばらく宮家の御顔を見守り、それから次々に八人の者へ、驚きの眼を移して行った。

と、にわかに一間ほど辷り、兵衛は床へ額を押しあてた。

「かしこき極わみ! ……意外も意外! ……大塔宮様におわそうとは! ……尋常の山伏にはよもあるまいと、ひそかに存じてはおりましたものの……よもや、よもや、金枝玉葉の! ……それに致してもあさましや、