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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

「それにお前いつ帰られた?」

「たった今よ、今しがた帰って、蓬生に逢って話をきけば、九人の山伏が泊まっているとのこと……耳よりの話京で聞き、はてなと思ってここへ来て……」

「立ち聞きしたのでござんしょう。……いよいよ怪しいお前の振る舞い! ……心セカセカとつかわとして、これからそなたどこへ行くお気じゃ※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「いつまでもクドクドとうるさいわい……そういうそなたこそ女の身で、このようなとこへやって来て……」

「わたしは若い先達様に……」

「ははあ読めた、懸想したな!」

「えい滅相な。……でもあのお方様は……」

「尊い尊いお方様よ! そなたなどの恋、何んの何んの……」

「恋どころか、今は必死! ……お尽くししたい心で一杯! ……その眼にどうにもお前の様子が……」

「いらぬ詮索、袖を放せ!」

「思うにそなた慾にかられて、熊野の別当定遍あたりへ……」

「密告すりゃア褒美も褒美、一国一城の主になれるわ!」

「やっぱりそれじゃア……」

「ナーニ違う!」

「見抜いたからは、やってなろうか! ……どなたか、どなたか、お出合いくだされ!」

「こやつめが!」

グ――ッ!