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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

さすがに宮家もギョッとされて、歩みをとどめ見守られた。

盲人は人気を感じたと見え、垂れていた首をゆるやかに上げ、宮家の方へ差しのばし、

「どなたかおいででござりまするか?」

と云った。

「…………」

相手の何者かを計りかね、宮家は沈黙をつづけておられた。

「どなたかおいででござりましたら、この憐れな盲人を、お情けをもって大塔宮様の、ご前までお案内くださりませ」

(はてな?)

と宮家は意外に思われた。

(わしに逢いたいという、何者であろう?)

「宮様に直々お眼通り仕り、許すとのお言葉いただきたさに、流浪いたすものにござりまする」

(?)

「……返辞がない。……誰もいぬそうな……」

盲人はソロソロと歩き出した。

と、死骸につまずいた。

「大逆者め」

と呟いた。

「竹の杖で咽喉をえぐられ、息絶えたは天罰ぞ」

ソロソロと歩き出した。

槻の木の茂りから外れた時、月光が盲人に降りかかり、痩せた身長の高いその躰を、宮家の御眼に強く印した。

憐れにも見え怪しくも見えた。

(訊ねて見ようか? 何者であろう?)

宮家は二三歩あゆまれた。

と、その足音を聞きつけたらしく、盲人は振り返り首を傾げ、