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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

「やむを得ぬ儀……」

とややあって仰せられた。

「八郎、彦七、では参れ。……しかし、玉置の荘司の態度に、疑がわしい節いささかなりとあらば、卑怯もない、臆病もない、ただ一散に引き返して参れよ」

八郎と彦七とは一揖し、小山を巡って姿を消した。

小山を巡って片岡八郎と、矢田彦七とは歩いて行った。

玉置の館へ近寄るにつれて、殺伐の気が感じられ、それが二人には気にかかった。

木戸まで来ると甲胄をつけた武士が、数人二人を遮った。

「これ山伏、どこへ通る」

「いや」

と片岡八郎は云った。

「われら事は大塔宮様家臣、片岡八郎と申す者、これにあるは矢田彦七、宮家よりの使者として両人参った。玉置殿に御意得たい」

すると武士たちは顔を見合わせたが、

「それ来たぞ」

「お知らせしろ」

「いっそここで……」

「いや待て待て」

などと、不穏の言葉を囁き合ったが、やがて一人の武士が館の方へ、金具を鳴らして走って行った。

「これはいけないな」

「ちと不穏だ」

八郎も彦七も不安を感じ、武士たちに警戒されている中で、声を忍ばせて囁き合った。

でも間もなく走って行った武士が、また急がしく走り返って来て、