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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

五、六十人の玉置の家来が、あるいは騎馬であるいは徒歩で、弓、長柄などをひっさげて、一団となって追って来ていた。

宮家のおわす地点へまでは、小山をへだててまだ遠かった。

「…………」

「…………」

眼を見合わせて頷き合い、二人はさんざしの藪の蔭へかくれた。

それとも知らず玉置の家来どもは、算を乱して走って来た。

「!」

「!」

同時に飛び出した八郎と彦七――八郎は真っ先に進んで来たところの、騎馬武者の馬の両脚を薙ぎ、馬いなないて棹と立ち、乗ったる武士の落ちたるところを、すぐに彦七、躍りかかり、斬り伏せて首をあげた。

叫喚!

討手は一斉に逃げた。

「遠矢にかけろ! 矢襖にかけろ!」

金剛杖を杖つきながら、背後から範覚が大音に叫んだ。

矢襖!

まこと襖のように、矢が密集して飛んで来た。

一本!

八郎の胸に立った。

「彦七! そなたは、遁がれて宮家へ!」

「浅傷だ! 八郎、気を落とすな! ……死なばもろとも、何んで一人で!」

矢!

またも八郎の股へ!

「行け、彦七! 宮様御大事! ……お落とし申せ、行け行け行け!」

「今日まで生死を共にして来た二人だ! ……死なばもろとも! 生くるももろとも! ……肩にかかれ、生くるももろとも!」