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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
「ハ――ッ」
と彦七は大息を吐き、バラバラと熱い涙をこぼした。
「とうとう……八郎は……討たれた討たれた!」
大塔宮様の家臣として、行動を一にし千辛万苦をした、戦友の過去の出来事が、一瞬間眼前に展開がって見えた。
(八郎よ、死んでくれたか! ……彼の忠死を犬死ににはしまい!)
で、彦七は身をひるがえすと、奔馬のように走り出した。
宮家ご一行は小山の背後に、不安をもって屯していた。
朋友想いの村上彦四郎は、八郎と彦七の身の上のことが、どうにも案じられてならないらしく、小山――と云っても丘ほどの小山を、上がったり下りたりして焦燥っていた。
小山へ上がった彦四郎の眼へ、小松の間をこっちを目ざして、走って来る山伏の姿が見えた。
矢田彦七に相違なかった。
(彦七一人で? ……八郎は?)
ハッと思いながら大音に呼んだ。
「矢田よ! ……彦七よ! ……いかがいたしたア――ッ」
「彦四郎オ――ッ」
と彦七は叫んだ。
「一大事! ……玉置の荘司め! ……謀反! 逆意! 宮家に対し! ……討手出したわ! 押し寄せ来るわ! ……無念、八郎は、ウ、討たれたア――ッ」
彦四郎はグラグラと眼が廻った。