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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
ほろぶべき武家に加担し、即時にご運を開かせ給う宮家に、敵対いたす愚かさよ! ……一天下の間いずこのところにか、身を置くところあるべきや! 天罰覿面遠かるまじ! ……やあやあ己ら馳せ向かい、朝敵ばらを追い崩せ!」
声に応じて七百余騎、ふたたびドッと鬨をつくり、一団となって谷を下り、玉置の陣へ駆け込んだ。
野長瀬兄弟の陣から脱けて、桂子たちのいる小松原へ、風見の袈裟太郎が帰って来たのは、それから程経た頃であった。
袈裟太郎の報告を聞いてしまうと、桂子は安心したように頷いた。
「では宮様ご一行は、野長瀬兄弟がお供をして、槇野聖賢の槇野城へ、一旦お入りあそばしたのだね」
「はいさようにござります、玉置の軍を追い散らしました後、野長瀬兄弟にご守護され、槇野城に入りましてござります」
「野長瀬兄弟はもう昨日から、そこの陣地にいたとか云ったね」
「はいさようにござります。……そこへ私事行き合わせましたので、間もなく宮様ご一行が、おさしかかりあそばすと申し上げ、お待ち受けいたしておりましたところへ、はたしておいで遊ばしましたので……」
「どっちみちこれからも大塔宮様には、艱難ご辛苦あそばさるるものの、当座の大難をお遁がれあそばして、こんな嬉しいことはないよ」