轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
浮藻を抱えたまま範覚は、矢のように走って姿を消し、
「待て、待ってくれ、おおおお範覚!」
と右衛門は喚きながらその後を追った。
それから数日の日が経った雨もよいの寂しい夕暮れであったが、桂子の館の前庭で、幽霊女と鶏娘とが、鶏頭の葉をむしりながら、しょんぼりとして話していた。
「ああとうとうこのお館も無住の古御所になってしまうのね」
「そう、わたしたちが行ってしまえばねえ」
「小次郎様はどうなされたことやら?」
「あの晩まるで狂人のように、魔の高殿から駈け下りられ、『戦場へ! 戦場へ! そこで働いて討ち死にする』と叫び、館から馳け出して行かれたがねえ……」
「それよりその後から桂子様が、顔にお袖をおあてになり、別人のような様子になられ、やはりお館から出て行かれたが、そのお姿が眼に残っていてならぬ」
「あの時わたしは桂子様へ『飛天夜叉の桂子様、どこへおいででございますか?」って、恐る恐るお訊ねしたところ、『わしはもう飛天夜叉ではなくなったのだよ、ただの女になってしまったのだよ。……昔の飛天夜叉に立ち返るまでは、お前たちには逢いますまい』と、泣きながら仰せになられたっけ」