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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
や俊基様や、そのほかの公卿衆や坊様にまじり、多治見ノ四郎二郎国長様も、土岐十郎頼兼様も、そうしてそうして良人頼春も!」
「うむ」
「ことごとく一味徒党となり、無礼講と称しては相集まり、その実ひそかに六波羅征めの……」
「うむ」
「謀議をいたしておりますとか」
「うむ」
「聞きました時には胸つぶれ、良人は宮方父上は武家方! ※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)まった妾はどっちへつこうかと! ……でも安堵いたしました。……お父上のお心が宮方へ……」
「…………」
太郎左衛門はヌッと立った。
「娘!」
その声の凄じさ!
「不愍な!」
眼には涙があった。
「不覚者は土岐頼春!」
「お父様!」
「よく聞け!」
と太郎左衛門は悲哀と苦痛と、怒りとをこきまぜた烈しい眼で、早瀬を上から見下ろした。
「『春の野に、あさる雉子のつま恋に、おのが在所を人に知れつつ』と、うたわれた古歌を存じおるか! その雉子こそ土岐頼春! あっぱれ右近府の蔵人として、若いながらも武名高く、素破や合戦とある時には、一方の物頭ともなる男が、女房の愛に引かされて、さほどの大事をうかうかと明かし、頼まれたお方を裏切るとは! ……我は鎌倉譜代の武士、六波羅の重恩受けたる身、七百余騎を預かりおる、軍奉行の職にある者じゃ! ……かからん時に何んの何