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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
次第に後悔が濃くなって来た。
(俺に酒を強い酔わせて眠らせ、出しぬいて舅の屋敷へ行き、俺の話した宮方ご謀反――この話を舅に打ち明けたとは! これが人の妻のやり口か!)
良人可愛さの心持ちから、行なった所業だということは、もちろん頼春にもわかっていた。
(とはいえそれも一つの裏切りだ!)
愛から出た妻の裏切り!
(良人が妻の愛に溺れ、頼まれたお方を裏切れば、妻は良人を愛するあまりに、良人を裏切って人非人とする! ……裏切り者と裏切り者! ……それも愛から! 呪うべき愛から!)
この間も到着の武士どもは、一方の木戸から現われて、さも勇ましく宣りをあげ、到着の帳へ名を記させ、別の木戸から出て行った。
唐綾縅の鎧を着、柿形兜を猪首にかむり、渋染め手綱に萠黄の母衣、こぼれ桜の蒔絵の鞍、五色の厚総かけたる青駒、これに打ち乗ってあらわれた武士は、
「清の党の旗頭、葛西ノ忠太候うなり、お書き留めくだされい」
と宣って通った。
白糸縅に胡麻幹小札、この大鎧を一着し、真紅の鉢巻をムズと締め、黄母衣に木地の鞍置かせ、浅黄手綱の黒駒に乗ったは、濃州方県の城の主、明石播磨之介貞朝であったが、