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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

大木戸の異変

「素破ご主君ご生害ぞ! 死ねや死ねや我らも死ねや! ご主君のお供仕れ!」

と、中門に並居た郎党たちは、こう叫ぶと互いに刺し違えた。

二十余人のことごとくの郎党、敵を二百七十三人まで殺し、自分たちは一人も捕えられず、立派にこうして死んだのである。

この振る舞いには六波羅勢も、感に堪えて泣く者さえあった。

が、やがて人々は叫んだ。

「勇士の首級申し受けよ!」

死骸へ向かって走りかかった。

頼春はこの時気絶して、地に俯向けに仆れていたが、蘇生って顔を上げた。

その顔には国長によって投げつけられた腸が、赤黒くベッタリと着いていた。

「夜か! 暗い! 闇だ闇だ!」

譫言のように頼春は云い、両手で顔を掻きむしった。腸が爪によって剥ぎとられた。

「眼が見えぬ!」

と頼春は呻いた。

国長の腸が――悪血が――いやいや怨恨と呪咀の血が、頼春の両眼へしたたかはいり、その眼を盲目にしたらしい。

大木戸の異変

それから三日の日が経った。

山伏の金地院範覚が、伏見街道の出入り口で、群集を相手に吼えていた。

「宮方ご謀反とうとう潰えた。……ナニサこんなことはとうの昔から、俺らや姥には解っていたのさ。