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ふしぎくにたんけん
ふしぎ国探検
海野 十三
「ラジオ仲よしクラブ」1947(昭和22)年9月号~1948(昭和23)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,118 字 · 120 页
「あッ、あちちち。助けてくれ。コーヒーをとりおさえてくれ。やけど攻めだ。わしは死んじまう」
その茶褐色の棒は熱いコーヒーだった。料理場の火の上にかかっていたコーヒー沸しの口から、にょろにょろと外へでてきた熱い熱いコーヒーだった。重力がなくなったので、コーヒーはコーヒー沸しの底にじっとしてなくなったのだ。そこへちょっとした力が働いて、液状のコーヒーは、コーヒー沸しの口から、にょろにょろと外へはいだしたのだ。
そのとき、天井の隅にとりつけてある高声器が、交替時間になったことを告げた。
すると、反対の入口の扉があいた。そこから大ぜいの人が、この食堂へはいってきた。誰も彼もみんなからだを横にして部屋の中へはいってくる。まるで海でおよいでいるような恰好だった。ちょっとした力を加えると、からだが前に走りすぎて、もう停まらなかった。だから、そういう連中は、そこらにある柱や壁や、電灯の笠や机や腰掛にかじりついて、やっと自分のからだを停めるのだった。
もちろん腰掛も机も、こんなときの用心に、しっかりと床に、ボールトとナットでしめつけてあった。
「おい。おいしいものを早くだしてくれたまえ」