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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

「なるほど、ちゃんとあなたの声がきこえますよ。ふしぎだなあ」

「あははは。これは奇妙だ。僕はわざと小さい声で話をしているのですよ」

あっちでもこっちでも、この触角をつかって話をする練習が、みんなをおどろかせ、そしてよろこばせた。

こうして艇夫たちは、宇宙服を着こなすことが出来たのだった。

「さあ、それではみなさん。それぞれの職場へ戻ってください」

「はいはい。宇宙服をぬぐのですねえ」

「いや、宇宙服を着たまま、それぞれの職場へもどってください。もうすぐ、月へ上陸することになるから、今から宇宙服に身をかためていてください」

「たばこがのめないから、つらいなあ」

「たばこはのめないですよ。しかしがまんをしてください。月の世界への上陸が失敗したり、それからまた、噴行艇の故障がうまく直らなかった日には、それこそわれわれ一同は、そろって死んでしまうわけだから、それくらいのことは、がまんをしてください」

「わかりました。たばこぐらい、がまんをします」

異様な姿をした艇夫たちは、ぞろぞろと、それぞれの持ち場へひきあげていった。

三郎も、艇長のところへもどった。

司令塔に入ってみると、艇長や、その他の高級艇員たちも、いつの間に着たのか、すっかり宇宙服に身をかためて、持ち場についていた。