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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

甲虫か鳥か

あたりのながめは急にひらけ、下界は明るく、空は黒く林も川もない荒涼たる月の世界のすさまじさが、一層二人の胸にひしひしとせまるのであった。

二人はこのすさまじい風景にのまれたようになって、無言のまま、しばらくそこに立ちつくしていた。

それからしばらくして、三郎は、思わずこえを出して、さけんだ。

「おや、あそこに誰かいるぞ」

彼はおどろいて、木曾の腕をつかんだ。

甲虫か鳥か

「クマちゃん、あそこに誰かいるよ」

「誰かがいるって、誰がさ」

木曾は問いかえした。

「ほらあそこだ。この丘の下の、大砲みたいに先のとがった岩の下だよ。かげになってくらいから、はっきりわからないが、ほら、丸い頭がうごいているじゃないか」

「丸い頭が……」

「ほら、日なたへ出てきた、先頭の一人が……。おやッ」

そこで三郎は、おどろきのこえをあげた。その拍子に、触角がはなれて、三郎のこえは木曾にきこえなくなった。木曾は、あわてて、触角を三郎の方へ近づけた。三郎のこえが、再びきこえだした。

「……あれは何者だろう。人間じゃない……」

「え、人間じゃないって」

木曾はおどろいて、さっき三郎の指した方をみた。