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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

艇長の安否

しかも、ますます長くなっていく。

三郎は、すっかりきもをつぶしてしまったが、ようやくこのときになって、あれは重力をうしなったコーヒーが外へ流れだしたのだと気がついた。

つまり、コーヒー沸しの中では、圧力のつよい蒸気ができて、その圧力でもって、コーヒーの液を口から外へ押しだしたのである。それにはずみがついて、いつまでも、コーヒーは長い棒になって出てきてやまないのであった。

「さっき鳥原さんから、重力のなくなったときの味噌汁の話をきいておかなかったら、ぼくはコーヒーのお化けを見たと思ったにちがいない」

と、三郎は、ためいきをついた。彼のひたいには、ねっとりと、脂汗がでていた。

艇長の安否

重力装置故障中の五分間は、とても永かった。

三郎は、空中をのたうちまわるコーヒーにさわるまいと、部屋中をにげまわっていた。あのコーヒーの棒にさわれば、たちまち大火傷をしてしまう。

コーヒーの棒は、まわりに白い湯気をからませながら、いじわるく三郎をおいかけまわすのであった。

「ああ、早く重力装置が、なおらんかなあ!」

三郎は、あやつり人形のように、ふわりふわりと、身体をかわした。