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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

近づく月面

この計算には、まちがいありません」

「よろしい。では、今から『笑いの海』を目標に、着陸の用意をするように」

「はい、かしこまりました。あと三時間ぐらいで、月の表面に下りられる予定です」

「うむ、充分気をつけて……」

「かしこまりました」

いよいよ噴行艇は、月世界へ向けて、着陸の姿勢をととのえたのであった。

近づく月面

艇長辻中佐は、司令塔より、号令をかけるのにいそがしい。風間三郎少年は、そのそばについていて、ただもう、胸がわくわくするばかりだった。

ああ月! 月の上に上陸するなんて、全くおもいがけないことだ!

「重力装置を徐々に戻せ」

艇長の号令がとびだした。

「重力装置を徐々に戻せ」

信号員が、伝声管の中へ、こえをふきこむ。するとそのこえは、機関部へ伝わって、重力装置が元へ戻されていくのであった。

重力装置を戻すと、どんなことになるであろうか。

「おや、なんだか、身体が急に軽くなった」

風間三郎は、おどろいて口に出していった。身体がふわりと浮き上るような気持になった。それもその筈であった。今までは、地球の上にいるのと同じくらいの重力が、乗組員たちの身体に加えられていたのだ。