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だいうちゅうえんせいたい
大宇宙遠征隊
海野 十三
「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页
緑川博士は、それを思って、はじめはがっかりしたものである。宝ものが、目の前にとんでいるのに、ざんねんながら手がとどかないのと同じようだ。大宇宙の大きさにくらべて、人間の力のあまりにも小さいことよと、博士はがっかりしたのであった。
博士が、がっかりしたまま、ムビウムのことを忘れてしまえば、それで何もかもおしまいであった。ところが、神のおたすけがあったというのでもあろうか、或る日緑川博士は、或る会合で、例の隻脚隻腕の猛将大竹中将の席のとなりに座ったのである。そのとき、ふとムビウムやムーア彗星のことについて口をすべらしたところ、これを耳にした中将は、
「うわーっ、そいつはおもしろい大事業だ。しかも国家的の大事業じゃないか。君、若いくせに、そんなにひかんすることはない。わしにも、すこしは考えがあるよ。どうだ、今夜これからわしの家へ来なさらんか。そして二人で、よく話をしてみようじゃないか」
と、思いがけないことばであった。
緑川博士は、大竹中将からこのはげましのことばをもらって、たいへんうれしかった。しかしいくら中将の考えでも、このことばかりはどうにもなるまいと思った。