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にっき

日記

宮本 百合子

13 一九二七年(昭和二年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 40,068 字 · 81 页

青空文庫

一月二十二日

日本人には逆に立ってもかけぬ複雑性が内面的に在る。ドストイェフスキーでなければかけぬ内面性がある。驚くべきものだ。皆が一種の超人なのには参る。ロガチェフスキーは最新のロシア文学の中にドストイェフスキーの二重人格、病的傾向をあげて作品の特殊な外貌と生命とを説明して居るが、まことに、ドストイェフスキーが云ったように、この神聖な五秒と、自分の一生ととりかえてもよい位に私も感ずる。――病的がこの間光輝あるものならば……。

〔欄外に〕

議会停会は三首領の八百長猿芝居ナリ。昨日田中、床次、若槻会合、表面予算成立をイトシテこれは無事に終らせ、あと田中か床次カニユズルツモリ。この若槻内閣は政党政治解体期の最も露骨ナ縮図ナリ。その点歴史的内閣だ。

一月二十二日(土曜)

ひどく寒い日だ。午前中和田さんを訪ねること出来ず、十二時すぎホームに電話したら居ず。アパアトメントに行って見たが空室一つもなし。神保町にて真綿、ネルを見る。ネルよいのなし。会芳楼に行く。一時間以上一人で待つ。その間にアパアトメントの案内を見、よくプラン調べたところ、キチェンが一つもなし。これでは仕方ない。