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にっき

日記

宮本 百合子

13 一九二七年(昭和二年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 40,068 字 · 81 页

青空文庫

六月三十日

三時すぎから仕度をし、朝日の竹内さん、ペンリントン夫人その他主催の東京ペン・ウーメンクラブのあつまりに出た。ミセス・ペンリントン劇評家。丁度雲の多い西空に日が沈んで美しかった。東京会館ですきやき。

ミセス・ペンリントンなど劇は毎月見、いろいろ批評はあるらしいが第一、日本語がよめず、それで日本文学のいい悪いは云々出来ず。やはり男の方がすすんで居ると思った。大森アニ子氏、七十歳、研究的なやや男性的なしっかりした婆さん。尾崎テオドラ、ヴィクトリアン・エージの中流人流な女性。

林町に泊り、夜はなれに寝て、いろいろ国男と話し感ずるところ多し。

六月三十日(木曜)

十一時にYと落ち合い、明治大正名作展を見た。実によい見もの、よい印象があとまで心にのこり、斎藤茂吉の云う通り、芸術が時のふるいにかけられることのきびしさを感じた。大して同感の出来ぬテクニック、取材でも見ると、一つ一つそれとして完成して居るのに感心し、それで愉快だ。彫刻など面白い。西洋画やはり面白い。たった一つ位代表作として展覧されて居るあまり名をきいたことのない作家――故人に対してなど感深し。自分せめて、その一つをも創りたしと思う。