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にっき

日記

宮本 百合子

21 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,646 字 · 48 页

青空文庫

四月二十五日

○市電、増俸を要求してきのうからサボに入る。しかし自分はこのことを単純に見られず。決して単純なものでない。何がどんでんがえしで出て来るか。このところ社ファの大芝居であろうと思われる。

四月二十五日(日曜)雨

要の赤い若葉、緑の新鮮な若葉をぬらしてこまかい雨が真直にふっている。

自分、こういう日になると郊外の雨の中に行って、ぬれた若葉の間へ顔を突こみたくなる。我慢をして一寸勉強、山本有三を。

○外には雨の音、かすかな水のながれる音と庇の雨だれの音。話し声(となりの部屋の)まわりを見まわすと外のみずしさにかかわらず、かわいたちっともつゆのたまっていない白い小手毬の花と、やや傾いてつまっている本の乾いた列がある。いろんなものがみんな乾いている。猶、外へ出たくなった。

〔欄外に〕

ゆるやかな上り勾配になったひろいペーヴメント。緑の街路樹の色が濡れたペーヴメントに、つたや、白い色の□□映って、青い樹の下に緑の下草が萌えているように見えた。

○青い蝋燭の列のような静かな誰もしらない自然の祭りのあるような日。

○樫の芽(濃いぬれた去年の葉の上に柔かい茶色のより糸の房のような新芽)