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にっき

日記

宮本 百合子

21 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,646 字 · 48 页

青空文庫

一月三十日

そうして、黙って見せている。

〔欄外に〕

竹村書房へ、小説集の原稿を皆送る。

『中條精一郎』国民美術協会編。

中村順平氏一人本気で書いている。ひどい校正なり。

正義の防衛的圧力とミリタリスムとの対比。

mへ、ゴーゴリ二冊、『中條精一郎』を送る。

一月三十日(土曜)

○父の死んだということ、何だかどこかに生きているようで死んだようでなくて。偕楽園で皆賑やかに喋っている。どこからか、やーどうもおそくなって、と例の姿で入って来そうである。

○G子、Sが二時頃来て四時迄しか居ず、その日に、「自分は軽率であった」と云い、生活を一緒にやってゆくことは断念し、つまり他人になることを宣言した由。G、そのことにはふれず「私のことですから私がやってゆくしかないんだから」と職業の点からだけ初め話し、その決裂について涙一つこぼさず。涙をこらえているのは分り、それもよいが、こらえていられる程度、又そういう風なところ、この人泣かぬので幸福になるのか、不幸になるのかと痛感した。

〔欄外に〕

父の一周年記念日なり。林町へゆく。十二時頃から墓前祭をして、家へかえって又祭をして、五時すぎ偕楽園にゆく。