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にっき
日記
宮本 百合子
21 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,646 字 · 48 页
六月四日
「どうしたい」こういうときの感情のあたたかさ、柔かさ、包んで来るものを私は昔から知っている。名の話、どうでもよい、強いてには及ばない、心持さえ分っていれば、いいよ、いいよ、いずれゆっくり書くから云々。
○自分の感情、面会の後何だか真直うちへかえりたくない心持。
〔欄外に〕
かえりに新宿へ出て電球をかって、ムサシによる。下らぬものばかり。
面会。十四信までついているよ。
六月四日(金曜)
『帝大新聞』中野重治の作品評「鼓舞されるべき仕事」を二枚。
○『日日』廻転扉のため二枚(「仮装の妙味」)
○島木健作氏への答 三枚(『読売』)
○S、来てとまっている。血痰がたまに出るらしい。太郎にうつすのがいやだからなるたけ林町には暮すまいという。近所にアパートを見つけ、うちで食事をする方法。Sもなかなかなり。二十三歳の女の子の荷物にしては彼女の生活は軽からず。いろいろひとりで考えているところを考えると可哀そうである。昨夜その話をして、今日はさすがにすこし悄気ている。夜銀座へつれて行ってやる。信華へより、白檀の扇 2.45 とかを買ってやる。しかし寿江も父母がいないから却って生活をしっかりすることが出来る、もしいて、こういうことが分ったら、ソラ転地ソラソラと早く死んでしまったかもしれない。