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にっき
日記
宮本 百合子
21 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,646 字 · 48 页
九月十六日
九月十七日
ひきかえす。
家へかえる気になれず戸塚へ行って夕十一時すぎまでいる。防空演習。
サーチライトの太い青い液体の棒のような光を見る。
九月十六日(木曜)
○七時半からおきて鈴義氏に会う。いろいろしらべて貰うことにする。
○三十一日に会ったときよりずっとしっかりしている。身ごなしに彼独特の美しい大きい線があらわれている。
○話しているうち口につばがたまって来たらしく泡が見える。紙あげましょうか、いいよあるよ、袂をさぐる。ない。自分いそいでハンドバックから紙を出しわたす、テーブルの上におく。それをとってつばを拭く。とにかくこうして直接に一枚の紙でも夫・妻として渡しあえたこと何年ぶり! そして又いつこういう偶然があろう。感動的な、二人にしかわからない感動。彼の表情、身のこなし、すべてやはりそのことを語る。
かえりに西川、三越へよって夜着ジュバンを買う。
〔欄外に〕
大雨。
面会、
九月十七日(金曜)
〔発信〕第三十一信
昨日の感動の中で過したような一日である。シャツではない、こういう風に合わせるのがあるだろう? と云って、胸をひろげてその手つきをしたときの表現そのほか、きのうのように感覚的な彼の気持が自分に迫ったことこれまでになかった。