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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
そんなことで、結局、賊に縄をかけるのに、二十分程もかかったが、やがて、三人の刑事が賊の縄尻を取って、警視庁へと引上げて行った。
明智小五郎は、それを見送りながら、ふとある恐ろしい疑いに打たれた。
「あいつは、一体何の為に、態々捕まりに来たんだろう。若しかすると……」
彼は大急ぎで元の部屋に引返した。
廊下に一人の書生が見張り番を勤めている。さっき裏門へ駈けつける時、この書生丈けは持場を離れぬ様にと、固く命じて行ったのだ。
明智は、それを見て少し安堵を感じながら、ドアを開いた。そして、一歩室内に這入ったかと思うと、直ぐに又飛び出して来て、張番の書生の肩を掴んだ。
「君、宮崎さんはどこに行かれたのだ」
「洗面所です」
「今か」
「エエ、つい今しがたです。アア、帰って来られました」
廊下の向うに常右衛門氏の姿が見えた。
「その間、この部屋へ誰も這入ったものはあるまいね」
「エエ、決して」
宮崎氏が二人の側まで来て声をかける。
「アア、明智さん、賊は捕まった様ですね」
「エエ、併し……」
「併し?」常右衛門氏はけげん顔だ。
「お嬢さんは大丈夫ですか」
「御安心下さい。雪江の方は別状ありません。