轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
美禰子さんの並外れた慈悲心は、同族間ばかりでなく、新聞雑誌のゴシップを通して、広く世間一般の話題にも上り、亡き伯爵夫人は、この気違いめいた令嬢の美徳を、たった一つの苦労にしていた程である。
若し、大河原伯爵家に、怪賊白蝙蝠の乗ずべき隙があったとすれば、この令嬢の奇癖が唯一のものであったかも知れない。それ程この大政治家の生活には、油断も隙もなかったのだ。そればかりではなく、白蝙蝠の一味は、従来のやり口でも分る通り、(例えば、偽の品川が態々本物の品川の住宅に逃げ込んで、寸分違わぬ二つの顔を並べて、明智小五郎を揶揄した如き)強いて奇想天外な手段を選び、その奇怪なる着想を見せびらかす、所謂犯罪者の虚栄心を、たっぷり所有していたのである。
で、ある日のこと、伯爵令嬢美禰子さんが、本邸の書斎で、物思いに耽りながら(というのは許嫁の俊一氏が当時関西の方へ旅行をしていたからで)うっとり窓の外を眺めていると、広い庭園の森の様な木立ちの奥から、フラフラと現われて来た、奇妙な人物があった。
一見、令嬢と同じ位の年頃の女であったが、明かに乞食以上のものではないらしく、身に纏っているものといったら、着物というよりはボロ、ボロと云うよりは、糸屑といった方がふさわしい代物であった。