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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
品川四郎闇の公園にて媾曳すること
つまり狐につままれた感じである。その夜の出来事全体が飛んでもない幻を見ていたのではないかとさえ思われて来るのだ。
品川四郎闇の公園にて媾曳すること
青木愛之助はそれから一週間ばかり東京にいたが、もう一人の品川四郎の正体については、あやふやのまま帰郷しなければならなかった。
赤い部屋で男が「来週の水曜日」と女に約束をしたのを覚えていて、その水曜日を待って、態々三浦の家へ出向いて見たが、どうしたのか男も女も影さえ見せなかった。主婦は「今夜という御約束なのに」と不審がっていた。
「やっぱり、あいつはあの自動車に乗っていたらしいね。運転手を身替りに立てたという君の想像が、当っているかも知れない。奴、まさか自分と同じ顔の男が追駈けたとは知るまいが、どうせ悪いことを働いている奴だ。こいつは危いと思って、例の家へ来るのを見合わせたのだよ」
青木が云うと、苦労性の品川は非常に心配そうな顔になって、
「それ丈けならいいんだが、……若しや奴は僕達を感づいてしまったのじゃあるまいか、あの時追駈けたのが奴と見分けられない程よく似た男だということを知ってしまったのじゃあるまいか。