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ふくおうじでん

福翁自伝

福沢 諭吉

02 福翁自伝

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 页

青空文庫

清水は昨夜から待て居るので万事の都合宜く、その船宿に二晩窃に泊て、夫れから清水の故郷武州埼玉郡羽生村まで二人を連れて来て、其処も何だか気味が悪いと云うので、又その清水の親類で奈良村に吉田一右衛門と云う人がある、その別荘に移して、此処は極淋しい処で見付かるような気遣いはないと安心して二人とも収め込んで仕舞い、五代はその後五、六ヶ月して窃に長崎の方に行き、松木は凡そ一年ばかりも其処に居る中に、本藩の方でも松木の事を心頭に掛けてその所在を探索し、大久保、岩下、重野を始めとして、江戸の薩州屋敷には肥後七左衛門、南部弥八など云う人が様々周旋の末、これは清水卯三郎が知て居はしないかと思い付て、清水の処に尋ねに来た。所が清水はドウも怖くて云われない、不意と捕まえられて首を斬られるのではなかろうかと思て真実が吐かれない。一応は唯知らぬと答えたれども、薩摩の方では中々疑て居る様子。爾うかと思うと時としては幕府の方からも清水の家に尋ねに来る。ソコで清水も当惑して、如何しようとも考えが付かない。殺さないなら早く出して遣りたいが、殺すような事なら今まで助けて置たものだから出したくないと、自分の思案に余て、夫れから江戸の洋学の大家川本幸民先生は松木の恩師であるから、この大先生の意見に任せようと思て相談に行た所が、先生の説に、「ソリャ