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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
02 福翁自伝
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,912 字 · 402 页
吾妻艦を買う
風に出ようと相談を極めて、彼方へ行てからその話に及ぶと、直ぐに前の公使プラインが出て来た。出て来て何とも云わない、ドウですか船を渡すなり金を渡すなりドウでも宜いと、文句なしに立派に出掛けて来た。
吾妻艦を買う先ず是れで安心であるとした所で、此方では軍艦一艘欲しい。夫れから諸方の軍艦を見て廻て、是れが宜かろうと云て、ストーンウオールと云う船、ソレが日本に来て東艦となりましたろう、この甲鉄艦を買うことにして、その外小銃何百挺か何千挺か買入れたけれども、ソレでもマダ金が彼方に七、八万弗残て居る。是れは亜米利加の政府に預けて置て、その船を廻航するに付て、私共は先に帰たが、海軍省から行た人はアトに残て、そうして亜米利加の船長を一人雇うて此方に廻航することになって、夫れで事が済んだ。丁度船の日本に着たのは王政維新の明治政府になってから、即ち明治元年であるが、その事に就て当時会計を司って居た由利公正さんに遇て後に聞た所が、ドウもあの時金を払うには誠に困た、明治政府には金がない。如何やら斯うやらヤット何十万弗拵えて払たと云う話を私が聞て、ソレは大間違いだ、マダ幾らか金が余て彼方に預けてある筈だと云うたら、爾うかと云って、由利は大造驚いて居ました。